お正月気分に浸る間もなく、あわただしい毎日を過ごしていますが、そろそろまた確定申告のシーズンになりましたね!
 私は、毎年確定申告書の提出期限ギリギリになってしまいます。というのも、(私は白色申告ですが、)領収書などを毎日きちんと整理していればいいのに、それができず、申告前の数日間で領収書を整理し、バタバタとノートに書き写して計算しているから…。なにせ家計簿さえ、ひと月通してつけた経験がない私にとって(1日から始めると、だいたい15日頃には息絶える…)青色申告は雲の上の存在…。毎日とは言わないまでも、毎月末に領収書だけでも整理してればいいのに、それもできない…。ホントに情けないかぎりです(反省)。
 今回は「在宅ワーカーの確定申告(初心者編)」と題して、在宅ワーカーが確定申告(白色申告)する時に迷いがちな点について、とくにつっこんで説明します。今年は1日でも早く申告するぞ〜!と心に誓いつつ、某税務署で確認してきましたので、よかったら参考にしてみてください。

確定申告に必要なもの

必要経費はどこまで認められるの?

自宅の1室を仕事で使用している場合
水道光熱費について
接待交際費について
事務関連用品やパソコン関連用品について


確定申告書の書き方




 在宅ワーカーは、「個人事業主」です。平成14年度分の確定申告は、平成15年2月17日(月)〜3月17日(月)の間に行います。郵送でも受け付けてもらえますが、郵便局の通信日付が3月17日内になるようにします。特定の1社からのみ給与のかたちでの所得がある人は、年末調整が済んでいると思いますので、確定申告の必要はありませんが、高額な医療費を支払った場合などは、医療費控除の確定申告をしましょう。

 確定申告に必要なもの
 確定申告用紙を記入するために必要なものは、

申告用紙(確定申告書、収支内訳書、所得の内訳書など)
・支払調書
・各種保険の支払証明書
・領収書

などです。
 「申告用紙」は「個人事業の開廃業等届出書」を提出しているか、前年確定申告をしていれば、自宅に送られてくるようですが、送られてこないところもあるので、自分で税務署(や用紙配布所)に取りに行きます。確定申告書には書式「A」と「B」がありますが、個人事業主である在宅ワーカーの場合は申告書「B」を使います。特定の1社からのみ「給料」のかたちでの収入がある人(年末調整済みの人)で医療費控除などを受けるために確定申告をする人は、書式申告書「A」を使います
 「
収支内訳書」は、必要経費の算出に必要です。「所得の内訳書」は、申告書第二表の「所得の内訳」部分に書ききれないほど多数のクライアントがある場合には必要です。でも、申告書第二表の「所得の内訳」欄に(書く欄が6つある)、主なクライアントを5つ記入して、それ以外はまとめて「その他」として残りの1つの欄に金額を記入してもいいようです。
 「
支払調書」は、クライアントから1年間の支払額を明記した調書が1月頃に送られてきます。それには、支払金額と源泉徴収されている場合は源泉徴収額が記載されています。
 生命保険などの「
支払証明書」は、所得から差し引かれる控除額に関係してきますので、前年秋頃に送られてくる証明書を用意します。
 「
領収書」は、仕事のために買った文房具や接待費などの証明となるので、必ず保管しておきます。仕事関連でお金を支払った場合は、とにかく領収書をもらっておきましょう。領収書はレシートでもいいようですが、それが仕事のために買った(使った)とわかるように、別にノートを作ってメモするか、領収書の裏にでもその用途などを書いておくとあとで楽です。


 必要経費はどこまで認められるの?
  在宅ワーカーの場合、家庭での使用と仕事での使用の線引きが難しいですよね。実際、按分(あんぶん)する時にどの程度にすればいいのか迷うことも多いものです。それを悪用すれば、家庭用のものでもなんでもかんでも業務用にして必要経費にできるのですが、その点はきちんと分けておきます。

 自宅の1室を仕事で使用している場合
 在宅ワーカーの場合、自宅の1室を仕事部屋として使っている人も多いでしょう。その場合、その部屋の使用料(?)はどうなるのでしょうか? …もちろん仕事上必要で使っているのだから経費として算入できるはずです。

*例1 家賃を払っている場合
 家賃を払っている場合は、以下のように計算しますが、まず「仕事で使っている分をどうやって算出するのか」という問題があります。これには明確な基準はないそうです。「自宅総面積のうち仕事部屋の面積が何%かを出す」というのが一番わかりやすいかもしれません。もっと正確に出そうとすると、「じゃあトイレや台所を仕事中に使っている場合はどうする?」とか「仕事をリビングでしているけど、家族もそこを使っている場合どうする?」とか、込み入った事情が関わってきますよね。
 光熱費などの場合も同じで、どこまで仕事で使っているとしていいのか?という線引きが非常に難しい。これは税務署の方も「家庭の事情に合わせて按分してもらうしかない」と言っていました。だから、やはりその家庭の事情によって、自分なりの基準をきめるしかないようです。ここでは、仮に仕事での使用割合を2割とします。
 
  月の家賃×12カ月×0.2(仕事で使っている割合)
*期間内に「更新」などがあり、「更新料」を支払った場合は、「更新料×0.2(仕事で使っている割合)」の金額も足します。これについては、「収支内訳書」の裏面にある「地代家賃の内訳」に詳細を記入し、最終的な金額を表面の「地代家賃(14)」に記入します。

*例2 所有マンションの1室を仕事で使っている場合
 この「マンションの1室を仕事で使っている場合」で、しかもローン返済中という場合は計算がちょっとやっかいです。ローン返済中で、例えば「住宅借入金特別控除」などを受けている場合は、経費としての算入はできません。(正確に言うと、算入しようと思えばできますが、受けている「特別控除」の分と必要経費とを詳細に按分しなければならないそうです。)これに該当しない場合は、以下のように計算します。

◇ローンを払っている場合、まずその元金と1年間の利息がいくらなのかを、ローン返済書などを見て出します。経費として算入する場合、元金(建物の値段)と利息は別扱いになるからです。ここでは、仮に仕事での使用割合を2割とします。

・利息分について 
 1年間の利息分の金額×0.2(仕事で使っている割合) 
*これについては、「収支内訳書」の裏面にある「利子割引料の内訳」に詳細を記入し、最終的な金額を表面の「利子割引料(16)」に記入します。
 
・元金分について
 元金は建物自体の値段で、その建物は年数が経つにつれて価値が下がっていくものとされるので、「
減価償却費」という科目にあてはまります。これは「収支内訳書」の裏面にある「減価償却費の計算」に従って計算します。詳しくは、「収支内訳書の書き方」という紙を見ながら書き込んでいきましょう。

取得価格 建物の金額(元金)
償却の基礎になる金額 イ×90%(90%というのは、「定額法」による)
償却方法 「定額」と書く
耐用年数 「主な減価償却資産の耐用年数表」により出す (例・47年)
償却率 「減価償却資産の償却率表」により、耐用年数に合わせた率を書く(例・0.022)
本年中の償却期間 1年間でどれくらい使っているか(例・12カ月)
本年分の普通償却率 ロ×ハ×ニ
特別償却率 被災代替資産等の適用などを受ける場合。普通は関係ない。
本年分の償却費合計 ホ+へ
チ  事業専用割合 仕事で使っている割合(例・20%)
本年分の必要経費算入額 ト×チ
未償却残高 「取得価格−前年までの償却費の累積額」−ト
*これについては、最終的な金額(リ)を、「収支内訳書」の表面の「減価償却費(13)」に記入します。

 結構たいへんですがこれらはそれなりの金額になるので、経費として認められているのだから、がんばってきっちり計上しましょうね!

なお、
固定資産税を払っている場合や火災保険に入ってる場合は、これらも必要経費として算入できますので、お忘れなく! それぞれ「租税公課(イ)」「損害保険料(チ)」の科目にあてはまり、やはりこれも仕事で使用している割合分を算入します。

 水道光熱費について
 水道・電気・ガスなども仕事中に使っている場合は、経費として算入できます(「水道光熱費(ハ)」の科目に)。これも家庭用と事業用の区別がつきにくいものです。水道やガスは家事に使う割合が大きいでしょうし、電気は仕事で使う割合もそれなりにあると思います。先に説明した「自宅の1室を仕事で使っている場合」の「仕事で使っている割合」と同じく、経費の算出のしかたは明確には決まっていません。仕事をしていなかった時期があれば、その頃の水道光熱費から仕事を始めてからのそれを引けば、目安が出るでしょう。他には、仕事をしている日中は家族が誰もいない(家事はほとんどしない)場合は、24時間のうち仕事をしている時間を割合として考える方法などもあるでしょう。これも、家庭の事情などに合わせて、自分なりの基準を作って計算しましょう。
 
 接待交際費について
 接待での飲食費やクライアントへの付け届け(挨拶のためのお土産代やお中元・お歳暮など)などについても、きちんと領収書をもらっていれば経費に算入できます(「接待交際費(ト)」の科目に)。税務署の方には、「この接待交際費が一番クセ者です。日常の外食代なども入れてしまう人がいるんですよ。」と言われました。話が飛びますが、「税務調査」といって確定申告したあとに、何か不審な点があれば税務署から調査が入ることがあるそうです。在宅ワーカーの場合も、5年に一度は調査が入るなどと聞くことがありますが、税務署の方曰く「収入に見合わない接待交際費などが計上させている場合など、調査が入ることがあります。」とのこと。もちろんとくに不審な点がなければ、調査が入ることはないそうですが、万が一入った場合に尋ねられてもいいように、領収書には「誰とどこで飲食したか」「なんのために購入したか」などを書いておくといいそうです。

 事務関連用品やパソコン関連用品について
 在宅ワーカーの場合、文房具や机、キャビネットなどの事務関連用品やパソコン本体やインクカートリッジ、プリンタ用紙などのパソコン関連用品を購入する機会が多いと思います。これらも仕事で使用する場合は、必要経費になります。文房具やインクカートリッジ、プリンタ用紙などは、「消耗品費(ヌ)」として必要経費に算入しますが、数年にわたって使用する机やキャビネット、パソコン本体などは、「減価償却資産」として扱われ、耐用年数などによって「減価償却費(13)」として算入しなければなりません。
 ただし、その試用期間や取得価額によっては算入のしかたが違ってきます。まず、その品物が以下のどれにあてはまるか見てみましょう。


 ア.使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満のもの
 イ.取得価額が10万円以上、20万円未満のもの
 ウ.20万円以上のもの

[について]
これは「少額な減価償却費」となり、
減価償却をしないで、使用した時にその取得価額をそのまま必要経費とします
*「
消耗品費(ヌ)」として算入します。

[
について]
これは「
一括償却資産」となり、取得価額の3分の1の金額を、3年間にわたって必要経費とします
*「
減価償却費(13)」として算入します。

収支内訳書の裏面の「減価償却費の計算」には次のように記入します。

例:18万円のパソコンと12万円のキャビネットを購入した場合(100%仕事で使用する場合)
(18万円+12万円)÷3=10万円

名称等 一括償却資産
所得価額 2つの合計所得価額=30万円
償却の基礎になる金額 30万円
償却方法 空欄にする
耐用年数 空欄にする
償却率 1/3
本年分の普通償却率 10万円
事業専用割合 100%
本年分の必要経費算入額 10万円
未償却残高 20万円

[
について]
「収支内訳書の書き方」にある「主な減価償却資産の耐用年数表」でその「
耐用年数」を出し、「減価償却資産の償却率」で「耐用年数」に見合った「償却率」を出して計算します。
*「減価償却費(13)」として算入します。

収支内訳書の裏面の「減価償却費の計算」に記入します。

例:パソコン…「耐用年数」は「4年」、「償却率」は「0.250」
  金属製の事務机…「耐用年数」は「15年」、「償却率」は「0.066」
 

 確定申告書の書き方
 申告書を書くには、まず「収支内訳書」を仕上げてからになります。所得から引かれる金額があれば(保険料など)、支払証明書をそろえて、申告書の第二表の裏面に貼り付けます。
 収入をどこに書き込むのか、私など迷ったことがありますが、私の仕事(編集)の場合は、「
事業」の「営業等」に書き込みます。原稿料をもらう場合もあり、「これは雑所得になるのかな?」と思ったのですが、通常の在宅ワーカー(個人事業主)の収入は「事業」の「営業等」に入るそうです。(給与所得者で副業で原稿を執筆して収入がある場合などに、「雑所得」の「その他」に金額を書き込むそうです。)
 なお、
「収入金額」とは実際に入った収入で(「収支内訳書」の4)、申告書の「収入金額等」‐「事業」‐「営業等」の欄(ア)に書き込みます。また、「所得金額」とは収入から必要経費などを差し引いたもので(「収支内訳書」の21)、申告書の「所得金額」‐「事業」‐「営業等」の欄(1)に書き込みます。
 特定の1社からのみ「給料」のかたちで収入がある年末調整済みの人で、医療費控除などを受けるために確定申告をする人は、書式「A」の申告書を使い、源泉徴収票に記載されている支払金額」を「収入金額等」に、「給与所得控除後の金額」を「所得金額」に転記します。
 
 
以上で、確定申告に関する説明はおしまいです。在宅ワーカーといっても、人それぞれ仕事の形態も違うし、なかなかわかりづらいことも多いのですが、みなさん、がんばって確定申告しましょう! 税務関係の専門家ではないので、万が一間違いなどがありましたらご指摘くださいませ(不審な点や詳細は、直接税務署で確認してしてくださいね)。                                      
(2003.1.20 犬飼みほ)


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